銀行振込というと、平日の営業時間中しか反映されないというのが長らくの常識でしたが、2018年10月9日に全銀協が「モアタイムシステム」を導入したことで大きく変わりました。
対応した銀行が24時間のリアルタイム入出金に対応したのです。
これによって銀行振込がすごく便利になったわけですが、今回それが追い風となるのは実は消費者金融じゃないか?という考察です。
銀行のリアルタイム振込を可能にしたモアタイムシステム
革新的!って話ではなくて既存のシステムが古すぎたってだけなんですけどね。
2018/10/10 日本経済新聞 朝刊
全銀システムを運営する全国銀行協会は9日、午後3時半以降に稼働する「モアタイム」と呼ぶシステムを追加。給与や賞与の振り込みをのぞく1億円未満の送金を、24時間365日できるようにした。全銀協によると、これに伴い振込手数料を引き上げた金融機関はないという。大手行の場合、3万円未満の他行への振込にかかる手数料は200円程度のままだ。
全銀協によると、三菱UFJ銀行や三井住友銀行、りそな銀行などが9日午後のスタート時から参加。信金中央金庫など全国組織を通してシステムに接続する信用金庫、信用組合を含めると当初から参加する金融機関は計504にのぼる。
既存の全銀システムがアップグレードされた感じになります。ただし、全部の銀行が対応しているわけじゃなくて、みずほ銀行は対応していないなど一部金融機関では足並みがそろっていません。
モアタイムシステムを導入していない銀行への送金、銀行からの送金は従来通りとなります。
参考:銀行振込の入金が確認・反映される時間とリアルタイム送金ができる銀行
2018年は消費者金融に追い風が吹くか?
冒頭の消費者金融の話ですが、これまで消費者金融は銀行カードローンによる越境によって苦戦を強いられていました。
銀行カードローンは
- 銀行という圧倒的安心感(対して消費者金融はサラ金のイメージ)
- 総量規制の対象外でいくらでも融資可能(消費者金融は年収の1/3が総枠)
といった点もあり、小口金融のプレーヤーだった消費者金融を駆逐してきました。一方で、そうした行為については、多重債務を助長するといった意見もあり、銀行カードローンの規制強化の流れができました。
融資額の自主ルール作成もありますが、大きな影響を及ぼすと考えられるのが、2018年1月から実施されている警察への照会です。
2017/9/15 日本経済新聞 朝刊
暴力団構成員など反社会的勢力との取引を断つ狙いもあって、カードローンなど新規の個人向け融資の審査方法を見直す。
全国銀行協会が預金保険機構を介して各行と警察庁を専用回線でつなぎ、利用者に問題がないか調べる。警察への照会には時間がかかり、結果が判明するのは最短で翌営業日、場合によって1~2週間かかる。銀行は審査結果の提示から融資契約までの速さを競い、カードローンは即日対応を売りにしてきたが、事実上そうした営業は不可能になる。
こうなることで、いわゆる「即日融資」ができなくなったわけです。
消費者金融は即日融資+リアルタイム振込で攻勢
一方で、警察への照会義務がない消費者金融は「即日審査」をウリにすることができます。さらに、審査に通過しさえすれば、銀行振込を使って、平日営業時間外(夕方や夜間)、あるいは土日祝日であってもユーザーの銀行がモアタイムシステムに対応していれば即日で振り込みによる融資が可能となるわけです。
となれば、消費者金融は「融資までのスピード」を最大の武器にして戦うことができるわけです。
劣勢に嘆いていた消費者金融各社にとっては反撃のチャンスといえそうです。新規ユーザーの獲得は進みそうです。
消費者金融業者を悩ませていた過払い金問題も時効によって解消に向かうことだと思いますし、消費者金融にとってはプラスに働きそうだなぁとおもいます。