預金保険機構という団体があります。私たちが銀行に預金しているお金は銀行が破綻した際も一定の限度額の範囲内で補償されるようになっています。
これが預金保険ですね。銀行が倒産して支払い能力がない場合でも、1000万円+その利息の範囲内は預金を補填してくれるようになっています。この補填を行ってくれるのが「預金保険機構」なわけです。
じゃあ、この預金保険機構は銀行から預金額に応じて預金保険料というものを徴収しています。
上記で確認できます。H30年度は0.034%(実効料率)ですね。ちなみに、三菱UFJ銀行の預金金利を見ていきましょう。
- 普通預金:0.001%
- 定期預金:0.01%(1カ月~10年満期まで同率)
となっています。というわけで都市銀行さんは私たちが預金している金利の数倍~数十倍を「預金保険料」として預金保険機構に払っているわけです。
剰余金を国庫に納入?
で、この預金保険機構は今のところ、かなりのカネ余りをしているようです。
2018/12/15 日本経済新聞
財務省と金融庁は預金保険機構が保有する8千億円程度を国庫に納付させ、2019年度予算案の財源に活用する方針を固めた。会計検査院が16年に預保機構に使う見込みのない余裕資金があると指摘したのを踏まえ、当初予算の歳入に税外収入として繰り入れる。消費税増税対策で歳出総額は膨らむが、税収の増加も見込み、19年度の新規国債発行額は9年連続で減る見通しだ。
預保機構からの国庫納入は異例だ。同機構は支援した銀行が破綻して預金の払い戻しができなくなった場合、一定額まで預金の払い戻しを保証したり金融秩序を維持したりする役割を担う。最近は業績が回復した金融機関が公的資金を返済し、「金融機能早期健全化勘定」の利益剰余金は3月時点で1兆6千億円まで積み上がっていた。
会計検査院は16年、利益剰余金は5千億円で十分で、残り1.1兆円は国庫に納付するなどの改善策を金融庁に要請。
というわけで、余った分は国庫に納めよという話になって、まずは一部を国に納付することになるそうです。
銀行に返せばいいじゃん
普通の保険で考えたら、契約者から多く集めすぎたのであれば何らかの形で契約者に還元するというのが筋じゃないのかなぁと思うわけです。保険って相互扶助のそうしたしくみでしょ?
余ってるなら国に寄越せってのは横暴では?
マイナス金利政策で、私たち預金者の預金金利は冒頭でも紹介したように劇的に抑えられているような状況となっています。
そうやって考えたら、剰余金は国庫に納入するべきではなく、余っているなら銀行に返金する、ないしは預金金利に上乗せするのが筋ではないかと思います。
制度上、集めた金を返金することができないというのであれば、以降は保険料率を大幅に減額するなどの対応が必要になるのでは?と思います。
銀行(特に地銀)だって懐事情は相当厳しい状況なわけで、なぜ自分たちが払った保険料が、金融とは関係ない分野に使われないければならないのか?と腑に落ちないところかと思います。
2018年1月からは休眠預金も召し上げられている
ちなみに、先般、銀行に関しては「休眠預金」について時効に達したものを国が活用するという法案が2018年1月より施行されています(休眠預金等活用法)。
こちらについても時効となった預金はもともとは銀行の利益となっていたものなわけで、
休眠預金については「休眠預金(休眠口座・睡眠口座)の仕組みと解約、出金方法。預金は没収される? 」をご参照ください。
高給取りの銀行に対して厳しい政策なら、市民から受け入れられる?ってことなんでしょうか。こわいこわい。