野村證券(野村ホールディングス)の決算は相当悪かったです。
最終利益は1000億円超の赤字転落、最終赤字額はリーマンショック発生の08年以来ということですので深刻です。
野村證券をはじめとした対面証券はリテール(対個人)の分野に構造的な問題があります。
- 野村證券の社員の年収は非常に高額(SBI証券とかと比べたら倍以上)
- 手数料が高い
- 顧客はネット取引をあまりしない富裕層(必然的に高齢者層が多い)
この辺りが構造的な問題だと思われます。
野村證券の社員の年収は非常に高額(SBI証券とかと比べたら倍以上)
野村證券の社員の年収は非常に高額です。ライバルのネット証券であるSBI証券などと比較すれば平均年収は倍近い差があると思われます。
さらにいえば、明生寮(独身寮)やマンション寮の完備、豪華な保養施設などの福利厚生面も充実、そのコストは当然会社が負担する必要があります。
それだけの高額な人件費を出すには、やはり高い付加価値(収益性)が求められます。
業界のガリバーである野村證券は、そうした稼ぐ力(営業力)は抜群に高いです。今でも営業マン単体の営業力を見れば、トップクラスだと思われます。
一方で、昔から言われていることですが、営業力ではどうしようもない部分も出てきています。
手数料が高すぎる
野村證券の手数料は高いです。
高収入(高年収)の社員を維持するためには仕方ないところがあるでしょう。自社グループのネット証券(ジョインベスト証券や野村ネット&コール)を作って対抗もしていますが、専業のネット証券には対抗できていないのが実態です。
今でも野村證券は高い営業力や商品力を持って、富裕層に対しては競争力があると思います。
一方で、マス層に対してはただ単に手数料がバカ高い証券会社となっています。ただ、高給取りの野村マンである以上、そこを引き下げるのは現実的ではありません。
高コストは営業力で一定の範囲はカバーできます。ただ、ネット取引が普通になってきた現在では、手数料を肯定するのが難しくなってきています。
野村證券も富裕層向けに従来の売買回転による手数料ビジネスからストックビジネスへの移行を表明しており、最近の中心商材は野村SMAや野村ファンドラップと呼ばれるラップ口座(投資一任口座)です。
こちらでは売買手数料は取らない代わりに、資産残高に応じた手数料を取る形になっています。
ただ、こちらの分野についても最近ではロボアド(ロボットアドバイザー)と呼ばれる種類の運用手段も登場しています。代表的な所だとWealthNaviやTHEOなどですね。
こうした方向もやはりネットサービスの方が親和性が高い感じになっています。
今後の野村證券のリテール部門はどうなる?
超富裕層の資産運用ニーズは引き続き残ると思われますが、一般個人~富裕層に関するビジネスはかなり厳しくなるはずです。
そうしたビジネス環境は同社(野村ホールディングス)の株価がしめしているように思います。
※8604の15年チャート(Yahoo!ファイナンス)
現在のように、高給取りの営業マンをリテール向けで維持することはできるのでしょうか?それは厳しいんじゃないの?というのが個人的な感想です。
野村證券は詰める文化やハードワークが求められる部分はブラック企業と評価する方もいらっしゃると思いますが、収入面は保証されています。
年功序列で上昇する部分も大きく、成績が悪くても大きく収入が下がることもないです。そういった意味で、野村で働き続けることができる人にとっては良い会社です。
ただ、昨今の状況でそうも言ってられない状況にはなってきているように思います。近々で野村證券本体でも大きめな構造改革というか社内体制の刷新とかが行われるのではないかと思います。