私的経済ニュース解読

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ソーシャルレンディングのmaneoを投資家が提訴。一方で、金融庁は融資先開示について認める方向

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インターネットを通じて個人がお金を出す、クラウドファンディング。その形態の一つで、「融資」を行うものを一般にソーシャルレンディングといいます。

個人が銀行のようにインターネットを通じて融資をして、その対価として金利を受け取るというビジネスモデルで新しい投資の一つとしても注目されていましたが、訴訟という形で問題点が発露することになりました。

ソーシャルレンディングという仕組み

投資家が仲介業者を通じてベンチャー企業に対して融資をする仕組みとなっています。融資なので貸付ですね。

投資家は投資先の企業が支払う金利が収益となるわけです。

ただ、こうしたソーシャルレンディングにも阪大店も指摘されています。

money-lifehack.com

1)貸し倒れリスク・デフォルトリスクが高い(と予想される)
2)融資が匿名化されており投資家はリスク判断できない
3)さらに、運用会社自身のリスクもある

といった問題点があるとされます。特に、ソーシャルレンディングは貸金業法という法律による縛りを回避するため、融資先を基本的に公表しません。

そのため、情報の透明性はかなり低いです。今回の訴訟においても、この点が問題となっています。

 

融資した資金の一部が、事前の説明とは異なる形で流用されていたとして訴訟

透明性が低い上に規制もないため、ソーシャルレンディングの仲介業者や融資を受けた企業は不正を働きやすいです。

2019年3月7日 NHKニュース

国内最大手の仲介会社「maneoマーケット」のほか、東京 渋谷区の「みんなのクレジット」は不動産業者などに融資するとして40億円を超える資金を集めていましたが、実際には自社のグループ会社に貸し出し、一部を社長の借金の返済に充てていたとして、おととし3月、関東財務局から1か月の業務停止命令を受けました。

 

2019年3月7日 NHKニュース

東京 港区の「エーアイトラスト」は原発事故の除染作業を支援する事業などに、融資として延べ2100人余りからおよそ9億円を集めていましたが、こうした事業は実際には存在しなかったとして、去年12月、関東財務局から1か月の業務停止命令を受けています。

 

こんな感じで、過去にも問題は指摘されていました。で、今回の訴訟となります。

2019年3月7日 日本経済新聞

インターネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディングの仕組みを使って集めた資金を目的外に流用したなどとして、投資家54人と法人3社が業界最大手「maneoマーケット」(東京・千代田)などを相手取り、計約11億円の損害賠償を求める訴訟を8日に東京地裁に起こす。

原告の代理人の鈴木英司弁護士によると、請求額は同種訴訟で過去最高。提訴するのはmaneo社と、同社を通じて投資家から資金を集めた「グリーンインフラレンディング」(東京・港)やそのグループ会社、グリーン社などの代表取締役の男性の4社1人。

訴状などによると、グリーン社はmaneo社を通じて、国内での太陽光発電や海外での水力発電など自然エネルギー分野への融資名目で出資者を募った。

ところが実際にはグリーン社は集めた資金をグループ会社に貸し付け、本来の目的と異なる事業などに使っていた。グループ会社は自己資金と投資家から集めた資金を同じ口座で管理していた。現在は出資者への利息配当や償還が滞っているという。

原告はmaneo社やグリーン社が虚偽の表示で資金を募り、資金管理にも問題があった結果、損害が発生したと主張している。

 

新時代の金融サービス、フィンテックは大丈夫?

ソーシャルレンディングなどの金融とITを融合させたサービスはフィンテックと呼ばれ、もてはやされています。ソーシャルレンディングは、「銀行融資」というものをフィンテックによって作り替えたものといえるでしょう。

一方で「規制」や「法律」というものは、それが必要だから生じたものでもあるはずです。投資家保護、消費者保護の仕組みでもあるわけで、それから外れた運用というのはやはりリスクがあるといえるでしょう。

 

 ソーシャルレンディング融資先の開示が可能に(匿名化解除)

2019年3月18日、金融庁は以下のように発表しています。

融資型クラウドファンディング事業における投資家の行為は、貸金業法第2条第1項に定める「金銭の貸付け」、すなわち「貸金業」には該当しないものと考える。

照会のあった具体的事実について、照会書に記載された借り手が法人である融資型クラウドファンディングの投資家の行為については、貸金業法第2条第1項に規定する金銭の貸付けには該当せず、当該投資家は、同項に規定する貸金業者に該当しないものと考える。

https://www.fsa.go.jp/common/noact/kaitou/024/024_13b.pdf(全文)

貸金業法によって、融資先の開示が難しかったわけですが、それが開示しても問題ないというお墨付きを頂いたことになりますので、ソーシャルレンディングは一定の透明性を得たということになりますね。

ソーシャルレンディング各社も今後は融資先の開示をしていくと思われます。

個人的にはソーシャルレンディングという仕組みには懐疑的なところもあるのですが、こういった透明性が担保されれば、良い方向に業界が発展していくと思います。

頑張ってほしいところです。

 

ソーシャルレンディングはポイ活で活用するのはアリ

ちなみに、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングなどの分野は比較的新しいジャンルであるため、ポイントサイト案件として時として高額の還元が提供されることがあります。うまく活用しましょう。

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