私的経済ニュース解読

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フラット35を悪用して不動産投資を行う事案が発覚、バレたら期限の利益喪失?

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フラット35は住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)と民間の金融機関(銀行)が連携して提供されている低金利な長期固定金利住宅ローンです。

参考:フラット35とは?

住宅購入時のローンは多額に上ることが多い一方で、リスクを抑えた長期固定金利のローンは民間金融機関だとリスクが大きいため、住宅金融支援機構が債務保証をするような形で提供されています。

住宅ローン金利ランキング(2019年5月)などを見ていただいてもわかりますが、35年固定金利という水準では、フラット35がかなり安い金利で住宅ローンを提供しています。

1位:フラット35(ARUHI) 1.29%(団信込プラン)
2位:ソニー銀行 住宅ローン 1.392%
3位:住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン 1.40%

そんなフラット35は、住宅ローン専用です。あくまでも居住用住宅のためにしか利用できません。ちなみに、フラット35に限らず、住宅ローンの場合、居住用以外はNGとなっています。

 

フラット35を悪用し不動産投資 「住む」偽り賃貸用に(朝日新聞)

朝日新聞(5/4(土) )

 不正が見つかったのは、東京都内の中古マンション販売会社が売った物件向けのローン。元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、「フラット35を投資目的で使ったのは、昨年6月までの約2年間に売った150戸前後。仲間の仲介業者らと一緒にやった。このしくみでトップセールスマンになれた」と証言した。販売会社は昨夏にこの社員を懲戒解雇し、昨秋までに機構へ届け出た。利用客の一部も機構から事情を聴かれている。

 元社員が関与した不正な融資の顧客は20代~30代前半の若者を中心に100人超。融資額は1人2千万~3千万円ほどで、計数十億円規模になる。不動産業者らがお金に困った若者らを、投資セミナーやネット上で勧誘したとみられる。機構によると、こうした不正が大規模に発覚した例はないという。同様な手口がほかの業者でもあれば、不正はさらに広がる。

いわゆる、不動産投資ローンと住宅ローンとでは金利に雲泥の差があります。数%レベルで違いますので、数千万円単位でお金を借りる不動産投資では凄まじい収益の差が生まれることになります。

フラット35で低金利でお金を借りておきながら、その物件に本人は済まずに、賃貸に回すなどしていたってわけです。

共同通信(5/7)

  石井啓一国土交通相は7日の記者会見で、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利型住宅ローン「フラット35」に関し、不動産投資目的に不正に使われた疑いがあるとして、機構に実態解明を指示したことを明らかにした。「本来の目的を逸脱した利用は遺憾。再発防止に向けて機構を指導する」と述べた。

 機構は昨年秋に不正を把握し、借り手の居住実態や投資目的の有無などの調査を進めている。投資目的と確認できれば、一括返還を求めるなどの対応に乗り出すという。

だれか一人がやったこと、で済まない感じになりそうな雰囲気です。これを受け手か、フラット35大手のモーゲージバンクのARUHI(アルヒ・7198)は一時ストップ安となる水準まで株価は売られました。

ちなみに、プレスリリースも出てます。ヤベー感じ。

【フラット35】に関する一部報道について(ARUHI)

当社が主体となり不正を行った事実は確認されておりません。しかしながら、過去の融資案件につき不正な申請が持ち込まれ、当社が意図せず実行した可能性について、かねてより住宅金融支援機構様と協力し、調査を実施しております。同時に不正な申請を阻止する審査プロセスの厳格化につき住宅金融支援機構様と共に既に取り組んでおり、今後も継続して全力で強化してまいります。

 

身に覚えがある人がバレたらどうなる

基本的に住宅ローンで買った物件に本人以外を住まわせてはなりません。

バレてしまった場合は、住宅ローンにおける期限の利益を喪失(期失・失期)することになります。

期限の利益というのは、分割して返済できる権利のことです。契約上、住宅ローンを投資目的で運用していた場合は、重大なルール違反という事で期限の利益が喪失し、結果として、借金の一括返済が求められることになります。

参考:期限の利益 | 住宅ローン用語集

 

当然多くの人はそんなまとまったお金を用意できないでしょうから、物件を手放さざるを得ないでしょうから、そうなったら物件を投げ売りしなければならないわけで……(あるいは競売)。

 

住宅金融支援機構や国交省が本気出したら不動産投資界隈でスルガ銀行(かぼちゃの馬車)の比ではないくらいの問題になってしまうかもしれませんね。今後の動向に注目です。