日経新聞の2019年6月3日付けの新聞で久しぶりにひどいグラフを見たのでネタにします。
厚生労働省によると、2018年春入社の大学卒業者の初任給は前年比0.3%増の20万6700円と5年連続で増加し、過去最高を更新した。新卒採用が学生優位の「売り手市場」となっているのを背景に、人材獲得のため初任給を引き上げる企業が増えている。
として載せているグラフが以下の通り。確かに近年の伸びはすごい感じがします。
2013年を底に大幅改善しているような様子が見て取れます。
でもさ、これって典型的なクソグラフというか詐欺グラフですね。見ていただくと目盛りが20万円と20.5万円とたった5000円刻みでしかないんです。
そして0~20万円までのところはきれいに省略しています。
月間5000円(年間6万円ほど)の年収増加でしかないわけですが、グラフではかなり大きく伸びているように見えます。
国際競争力を保つためにも、優秀な人材を初任給を含めて「脱・横並び」で手厚く処遇する動きが今後も広がりそうだ。
と締めくくられていますが、その結論ありきで、それを導くために用意されたようなグラフです。
詐欺グラフに気を付けろ
グラフは物事をより見やすく、わかりやすくしてくれるツールですが、自分の主張を伝えるために読み手に誤解を与えるように作ることができます。
テレビやマスコミはもちろん、取引先のパワポ(スライド)の資料、宣伝広告のチラシなどでも同じことがいえます。
- 今回のグラフのように数字を意図的に縮小する
- グラフを立体化することで錯誤させる
- グラフの目盛りにゆがみを加える
等することでグラフィカルにこちらを騙そうとしてきます。
わざわざグラフにするということは、何らかの主張をしたいわけで、その主張をよりそれらしく見えるようにグラフを悪用するケースは多々あります。
グラフというものはそういうものだということを理解して、読み違えないようにしましょう。