2020年の所得税から、サラリーマンの所得税が増税されます。
給与所得控除と呼ばれるサラリーマンの収入に対する経費が年収850万円で上限(195万円)として、それ以上にサラリーが増えても給与所得控除は増額されず、税負担が上昇することになります。ただし、22歳以下の子供を扶養している人は除外されます。
同時にフリーランス(個人事業主)の税負担軽減のため、一律で給与所得控除が10万円下がり、かわりに基礎控除が10万円増額されます。
で、何が変わるのか?って話ですが、サラリーマンを狙い撃ちにした増税です。特に独身、または子供がいない高収入なサラリーマンです。
給与所得控除の上限が下がる
給与所得控除というのはサラリーマンやアルバイトのように給料をもらって働く人にとっての税法上の必要経費です。
フリーランスや個人事業主などは実際の経費を領収証などを使って計算しますが、サラリーマンの場合、簡便的に自動計算されるようになっています。
計算式は以下の通りです。
2020年1月~
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40%-100,000円 550,000円に満たない場合には、550,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超 | 8,500,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円(上限) |
~2019年12月まで
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
大きく変わったのは、1000万円までの上限が850万円までに下がったこと。それと、一律で10万円が減額されています。ただ、この減額分については「基礎控除が10万円増額される」という事でカバーされているので、年収850万円以下の方は関係ないです。
また、年収が850万円を超えた場合でも下記の条件に該当する人は緩和措置があります。
・特別障害者に該当する人
・年齢23歳未満の扶養親族がいる人
・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる人
<所得金額調整控除>
(給与等の収入金額-850万円)×10%
なお、収入は1000万円を上限
年収850万円以上の独身やDINKSは増税へ
という事になります。
たとえば年収1000万円の方は、およそ15万円の所得増となりますので、それに税率を掛けた分の金額が増税となります。ざっくり30%としても5万円の増税ですね。
サラリーマンは完全に狙われているけど、仕方ない?
サラリーマンの給与所得控除は完全に狙われています。以下は給与所得控除の変遷です。ここ10年もしないうちにかなり減額されていますね
参考:給与所得控除の縮小が進む
- 2013年:給与所得控除に上限(1500万円超に245万円固定)
- 2016年:同上限を引き下げ(1200万円超は230万円固定)
- 2017年:同上限を引き下げ(1000万円超は220万円固定)
- 2020年:同上限を引き下げ+一律10万削減(850万円超は195万円固定)
年収の上限がどんどん下がってきています。
おそらくですけど、今後もこの水準はさらにさがってくるんじゃないかなぁと思います。今の状況だと数年もしないうちに年収500万円でも高収入とかいいそう。
結局のところ、多少支給額が増えたところで、こうやって増税されちゃあ、手取りも増えません。
税金以外でも社会保険料も将来的にはさらに高くなりそうですし……。
子育て世帯にとって、今回の増税はあまり関係ないですが、子育て世帯にとっては児童手当の特例給付の廃止についてその可能性が示唆されているわけで、この辺りがリスクですかね。