去年も色々な自然災害がありました。
台風や大雨などで被害を被ったという方も多いのではないでしょうか。で、いよいよ確定申告の時期です。
こうした自然災害でうけた経済的な損失については「雑損控除」という申告によってカバーすることができるのをご存知でしょうか?
大きな被害を受けていない場合でも、実は雑損控除は利用できます。雑に言うと、5万円以上の修理費用などを払ったら使えてしまいます。
実はハードルの低い控除なので、昨年被害に遭われた方がいらっしゃれば活用ください。
雑損控除の仕組み
タックスアンサーをみていきましょう。
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
損害の原因は次のいずれかです。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
地震や台風や火災などで被害に遭った場合は使えます。一般的な交通事故は対象外となります。
で雑損控除で受けられる控除額は以下の通りです。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
上記の内、金額が大きい方を使えます。
雑婚控除分は「所得控除」されますので、「雑損控除額×税率」だけ税金が還付されます(サラリーマンの場合)。なお、1年で控除しきれない被害額の場合、最長3年間の繰り越しも可能です。
雑損控除の計算の仕方
これがわかりにくいんですよね。
差引損失額=損害金額+災害関連支出-保険金で補填される金額
となっています。
損害金額は住宅や自動車などの損害額で計算します。
- 全壊・流出・埋没・倒壊:100%
- 半壊:50%
- 一部破損:5%
- 床上浸水:35~100%
- 床下浸水:15%(家財は0%)
というような基準があり、状況に応じて被害額が認定されます。
続いては、災害関連支出です。こちらは災害等に関連したやむを得ない支出となります。この金額が5万円を超えているようなら雑損控除が利用できます。
台風で屋根の一部が吹き飛んだとか、塀が壊れたといったような損害を原状回復(元に戻す)ためにかかった費用なんかも対象となります。
修理費に12万円かかったとしたら5万円をひいた7万円が控除できるわけです。
税務署の個別相談会などを活用しよう
ちなみに、各地の税務署では個別相談会のようなものもあり、利用できます。
特に、大規模な災害が発生した地域では、それぞれの被害に合わせた相談会なども実施されているようです。
以下のページでは台風19号をはじめとした災害被害者のための雑損控除等の説明会や事前相談会が行われる地域です。
ぜひ、積極的に活用しましょう。
ちなみに、確定申告は2020年2月17日(月)~3月16日(月)の予定となっていますが、還付申告(今回のように税金の返還だけを受ける場合)であれば、すでに受付を開始しています。
2月17日以降は税務署も込み合いますので、雑損控除による控除を受けたい方はお早めに相談されるとよいと思います。
ちなみにですが、「ふるさと納税」を利用して、ワンストップ特例(申告不要制度)を利用した方が、雑損控除を申告する場合、ワンストップ特例が無効となります。
その場合は、自治体からの寄付金受領証明書をもとに一緒に申告しましょう。申告は簡単です。