企業、航空会社などが提供しているポイントやマイルについて野村総合研究所の推計によると2018年度には少なくとも年間発行額が1兆円を突破しているとしています。
特にここ数年は、楽天、ドコモ、Yahoo(PayPay)などを中心に「ポイント経済圏」と呼ばれる言葉も使われるようになり、各社ともポイントのバラマキと囲い込みを行っています。
そんなポイントが家計に占める割合が大きくなってくることで色々とひずみも生じているようです。
国の統計に影響も
日本経済新聞(2020年3月8日)
変化に追いついていないのが明らかなのは消費関連の統計だ。総務省がまとめる消費者物価指数(CPI)はポイントによる事実上の値引きを織り込んでいない。足元で低空飛行が続く物価上昇率はポイントを反映するとさらに低下しそうだ。物価は日銀の政策目標でもあるだけに現実とのズレが広がる事態は好ましくない。 同省の家計調査でもポイントは実際に使った時点で初めて計上する特殊な扱いだ。例えば1000円の買い物をして200円分はポイントを利用した場合、消費支出の1000円と同時に200円を収入に数える。ためているポイントの量はつかめず、家計の実際の懐具合と開きが生じている可能性がある。
消費者物価指数がポイント還元による値引きを織り込んでいない、貯まっているポイントの額が不透明という点が課題とされています。年間発行1兆円(推計)はちいさい数字ではありません。
一方で、そんな課題がありますが、日本政府もちっとも普及しないマイナンバーカード拡大のために25%のポイント還元というようなポイントばらまきを行う予定となっています。
キャッシュレス・消費者還元事業による2%還元、5%還元もほとんどがポイントによる還元となる決済サービスが多く、国自身も「ポイント還元」を積極的に実施してるという現状があります。
ポイントはお得な面もあるけど、制度が整っていない面もある
私はいろいろなポイントを世間一般の人よりは大いに活用している方だと自覚していますが、ポイントはお得な反面で色々な問題もあると思います。
一つは保護の問題ですね。
債権債務の関係もないため、ポイント発行企業が倒産した場合の補償はありません。一度JALが倒産した際、JALのポイントであるJALマイルも消失するかも!!と話題になりました。結局は新生JALがマイル残高を補償したものの、強行しようとすればマイルを消失させることも可能だったわけです。つまり、ポイントというものは極めて不安定な立場にあるわけです。
私もdポイントを百万単位で保有しているということを考えると決して他人事ではないです。ドコモが破綻という可能性は考えにくいものの、消費者にとって不利益な制度変更(改悪)などは十分に考えられます。
もう一つは「失効」ですね。1兆円の新規発行があるようですが、その一方で数百億円以上が失効しているのでは?という推計もあるようです。
ポイントを使う側(貯める側)もしっかりと戦略立てていかないとポイントに踊らされるだけ踊らされて結局損した……みたいなことになってしまうかもしれません。