私的経済ニュース解読

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ANA/JALの優待券価格が高騰。機関投資家・大株主は株主優待券をどう処分するのか?

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2018年後半にかけてANAやJALなどの人気の株主優待券が金券ショップ価格で高騰しているようです。

売買価格は2倍以上になっているお店も少なくなく、圧倒的な品薄が原因とされています。ANA/JALの優待券は出張族などにとっては飛行機代を大幅に節約できることもあって人気です。

参考:ANAやJALの株主優待券の活用方法や上手な買取、購入の方法

 

 

この理由については、日経新聞が記事を出しています。

2018/11/2 20:30 日本経済新聞

高値の背景として噂されているのが、2018年3月に明るみに出た事件だ。みずほ銀行の元行員が廃棄すべき株主優待券を着服して換金し、1億2千万円あまりを脱税していたとして在宅起訴された。優待券は海外の株主には利用価値が低く、株式などの管理代行サービスを提供する銀行側が廃棄するよう契約に盛り込まれている例もある。 画像の拡大 企業によっては自社で保有する優待券を換金したり、社員の出張など社内で使ったりする例もある。ある金券店主は「みずほ銀行の一件を受け、コンプライアンスを気にして換金を避ける企業が増えたのではないか」とみる。実際、都内の金券店主は「平年に比べ店に持ち込まれる量が減った」と口をそろえる。

 

覚えていらっしゃる方も多いかもしれませんね。

参考記事:機関投資家の株主優待券や優待品の処分方法とその利益 - コレキニ

海外の機関投資家などが保有する株式の管理を担当していた元行員が、投資家宛てに送られてきた大量の株主優待券を着服して換金し、1億2000万円余りを脱税していたとして、東京地検特捜部から所得税法違反などの罪で在宅起訴されました。

管理する株式などの残高が数十兆円規模に上る銀行もあるということですが、海外の機関投資家にとって日本国内の企業の株主優待券は、利用価値が低く手続きも煩雑なため、銀行側が廃棄するよう契約に盛り込まれているケースがあるということです。

 

株主優待は上限(打ち止め)が設けられている銘柄が多いのですが、ANAやJAL、JRなどの株主優待は比較的大口投資家にも提供しています。

 

ANAの株主優待

  • 100株:1枚
  • 400株:4枚
  • 1000株:7枚
  • 10万株:254枚

 

JALの株主優待

  • 100株:1枚
  • 300株:2枚
  • 500株:3枚
  • 700株:4枚
  • 1000株:5枚
  • 10万株:203枚

 

JR東海の株主優待

  • 100株:1枚
  • 1000株:10枚
  • 1万株:55枚
  • 2万株:100枚
  • 5万株:250枚
  • 10万株:500枚

 

JR西日本の株主優待

  • 100株:1枚
  • 1100株:10枚
  • 10100株:55枚
  • 2万株:100枚

 

とまぁ、こんな感じになっています。交通系はかなりの大口株主に対しても株数に応じて優待券を提供しています。

これはやはり大企業などではこうした交通機関を実際に使うことも多いでしょうから、株主企業に対して優待券を発行するのは喜ばれる側面もあるからでしょうね。

 

ただ、実際に受け取った会社によっては全く使わないというケースも少なくないはずです。もしくは余るなんてこともあるでしょうね。

しっかりした会社なら、会社として売却して売上(営業外利益)に計上するのかもしれませんが、管理していないところだと、管理している社員が着服して金券ショップで売却なんてケースも少なくないのかもしれませんね。

みずほ銀行の所得税法違反で検挙という報道もあって、そうした方々が自粛ムードとなっているのかもしれません。

 

機関投資家の株主優待の扱いについて

一例として交通系の企業を挙げましたが、それ以外にも様々な会社が株主優待を行っています。そうした優待って機関投資家はどうしてるんですかね?

ということで調べてみました。

 

GPIF(日本の公的年金運用)

GPIF on Twitter: "【FAQ:GPIFは株主優待をどうしているのですか?】

株主優待は資産管理機関が管理し、割引券等は換金され運用収益の一部となります(平成28年度実績は約4.2億円)。食品・家庭用品などは日本赤十字社や東京都社会福祉協議会を通じて福祉施設などに寄付され、社会に役立てられています。

 

三井住友アセットマネジメント

投資信託財産における株主優待物の取扱いに関する基本方針

SMAMでは投資信託財産における株主優待物の取扱いについて、信託銀行と以下の取決めを交し、取決めに沿った取扱いを行なっております。

金券、優待券など容易に換金できるもの、または基準価額に影響する等受益者の利益のため必要と判断されるものは、換金して投資信託財産に繰り入れます。

また、農産物、食品などの換金が困難な株主優待物は、信託銀行にて、受領辞退、慈善団体等への寄付等を行います。 (ご参考)なお、2017年度に関しては、弊社のファンドのうち、株主優待物を換金したものは全て収益として計上しましたが、純資産総額に対する影響が0.01%(基準価額1万円に対して1円相当)を超えるものはありませんでした。

 

投資信託協会

ETFや投資信託は株主優待をどのように扱っているのですか? / 株主優待Q&A

投資信託は、投資家から集めた資金(金銭)を一つにまとめて株式や債券といった 有価証券に投資し、運用の結果を再び金銭の形にして投資家に均等(持分に応じ て)にお返しする仕組の金融商品です。

このため、優待物のような「物」を投資 家に均等にお返しすることはなかなか難しく、換金できるものを極力換金して投 資信託財産に繰り入れ、投資家に均等に優待物の恩恵が行き渡るよう努力してい ます。

 

とまぁ、一応は換金できるものは換金して受益者に還元する方針という事みたいですね。