有給休暇の強制消化の義務化が2019年4月に始まります。
働き方改革の一環ですが、法案としては実は2015年に提出されていたけど、棚上げになっていた問題を再審議して成立となりました。
2018/06/07 日本経済新聞 朝刊
年休を取得するかどうかの判断はこれまで労使に委ねられてきた。政労使は20年に取得率70%を目標とするが、16年は49・4%。現実は理想からほど遠い。今国会で成立する公算の働き方改革関連法案では、現実を理想に近づけようと、年休について5日取得することを義務付けている。企業側が働き手の希望を踏まえ、時期を指定して年休を取らせる。守らなければ企業に罰金を科す。
制度がいよいよスタートとなります。特に、アルバイトやパートさんなど、これまで有給と縁なかった人にとってはかなりの朗報になりそうです。一方で企業側(特にアルバイトなどが多い小売店)では業績への影響は必至でしょう。
有給の5日間義務化の内容
有給休暇の法定付与については、労働日数によって決まっています。
勤続日数 | 6ヶ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 以上 |
週5日(フルタイム) | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
週4日又は年間169日~216日まで | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
週3日又は年間121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | 9日 | 10日 | 11日 |
週2日又は年間73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
週1日又は年間48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
このうち「太字」にしている人が今回の法改正で有給の強制取得(義務化)の対象になる人です。
制度的に、最低でも5日間の有給をとっていない人には会社が有給を計画付与しなければならないというものです。
年に5日以上取得している人には関係がないのですが、有休をとれていない人は会社が有給を与えないと処罰されることになります(処罰対象は当然会社(使用者)です)。
2018/9/10 日本経済新聞 夕刊
有休消化が5日未満の働き手がいた場合、最高30万円の罰金を企業に科します。罰金が違反1社当たりなのか、1件当たりなのかは明示されていません。もし違反1件当たりで罰金を科す場合、例えば従業員500人の有休消化義務を怠った企業の罰金は30万円×500人分で最高1億5千万円にも上ります。
アルバイトやパート、短時間労働者も対象
です。バイトやパートには有給がないなんて会社もありますが、当然対象です。
参考:アルバイト・パートでも有給はもらえる | アルバイト・パートの法律知識
また、1日当たりの労働時間が短くても対象です。たとえば1日3時間だけ週5勤務なら10日分の有給があるので、付与対象です。
企業は早めの対策を
いまは人材不足の声も聞かれています。
そんな中で有給をこれまで取らせていない会社からすると、有給の義務化はシフト等に穴をあけることになります。
年5日なので、そんなに多い日数ではありませんが、年度末になって有給を取得していない従業員がたくさんいて、まとめて休ませたら会社が回らない……。なんて事態にならないようにする必要がありますね。
- 有給取得を奨励し、現場に穴を開けないで分散して取得させる
- 全社休業日などを作り、計画的に有給を付与する
さらに、人材不足になる場合は増員などの検討も必要になるかもしれません。