日本学生支援機構が保証人に対して請求して返済してもらったお金(奨学金)をめぐっての訴訟が起こったそうです。
その内容はさておき、保証人になるときはその権利を知っておかないと問題になるわけですから、これを機会にしっかりと理解しましょう。
朝日新聞(2019年5月14日)
返還の奨学金をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額しか支払い義務はないと伝えずに全額請求している問題で、すでに全額を返し終えた保証人ら4人が14日、半額を超えた約650万円の返金など総額約880万円を求める訴えを東京地裁と札幌地裁に起こした。機構によると、この問題で保証人側が提訴するのは初めて。
奨学金では、借りた本人が返せない場合に備え、連帯保証人(親)と保証人(4親等以内の親族)を1人ずつ立てる。民法で各保証人は等しい割合で義務を負うとされ、本人と同様に全額を負う連帯保証人とは異なり、保証人には半額の支払い義務しかない。「分別の利益」と呼ばれる。 機構は、分別の利益は保証人が申し出るべきで、それ以前に払われた分は半額を超えていても法的に有効なため、返金できないとしている。
この件で知っておきたいのは、ここで訴えているのは本人や親(連帯保証人)ではなく、保証人(一般には親戚)です。
日本学生支援機構は奨学金を受けるときに、連帯保証人に加えて4親等内の親族を保証人としてたてるルールとなっています。
で、その際に親は連帯保証人、親族は保証人となります。
連帯保証人と保証人の違い
この二つ(連帯保証人と保証人)には明確な違いがあります。連帯保証人はお金を借りた人と同じ扱いですが、保証人にはいくつかの権利があります。
催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益が認められています。
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
今回の訴訟となっているのは上記のうち「分別の利益」というものです。
日本学生支援機構の奨学金は「連帯保証人」と「保証人」の2名がいますので、保証人が返済しなければならないのは、保証した債務の半分で良いという権利です。
今回の訴訟は、本来であれば負担するのは半分でよかったのに、機構側は全額の返済を求めて、それに応じた。分別の利益の事を知っていたら返済しなかったのに、それを知らせなかったのは問題があるというものです。
司法がどう判断するのかについては裁判の結果を見るほかありません。
ただ、将来自分がだれかの保証人になるときには、こうした権利や抗弁権があることを知っておくことは大変重要なことだと思います。
日本学生支援機構の奨学金は保証会社を付けて学生ローンにするべき
でも一番は保証人にならないことが大切。少なくとも、今のご時世で親戚に奨学金の保証人を求められるのはキツイと思います。
一応、機構保証といって少し金利が割高になるけど保証人不要になる制度があるわけですから、連帯保証もやめて、そっちだけにしておけばいいと思うんですよね。金利は多少高くなるだろうけど、未回収のリスクもなくなるわけだし。
そして、公的学生ローンって名前に変更すればいいんですよ。