先日、富士通が5000人もの配置転換からの早期退職が2000人という記事を書いていますが、さらに「45歳以上に早期退職を含むジョブ再配置の拡大」を発表しています。
日経XTHEC 2019/03/18(独自入手、富士通の4月機構改革と人事異動の骨子)
2019年1月末に締め切った間接部門従業員の割り増し給付金付き早期退職を含めた今後のジョブ選択を45歳以上の富士通グループ全従業員に拡大する
上記の記事でも紹介した、配置転換+早期退職を45歳以上のという年齢でひとくくりにして今後実施するというわけです。
要するに、45歳になったら現在の部門から別の部門(ジョブ)への配置転換をして結果を出すか、割増退職金で早期退職を勧めるという話なのでしょうか。
役職定年の進化版?
役職定年とは、定年前に一定の年齢になることで管理職を外れることを指します。
管理職としての定年。役職定年とは何か?役職定年と年収・キャリア
一般的には50歳以降の年齢で部長、課長といった管理職ポストにいる社員に対して、こうした管理職の定年として設けられている制度です。たとえば、部長職は55歳で役職定年という場合は、役職定年を迎えた後は部長職を解かれることになるというものです。役定(やくてい)と略されることもあります。
その後は、専門職として異動したり、関連会社などへの出向となるというケースもあるようです。
こうした役職定年という仕組みは上場企業で多く取り入れられており、約半数の会社が実施しているといわれていますが、これが拡大・進化(?)したようなイメージでしょうか?
役職を解かれるだけでなく、成長部門にジョブ転換を申し入れてうまく結果を出せないようなら降格……。それが嫌なら早期退職に応募しなさいというものですね。怖い。
というわけで、日経テレコン21で調べてみました。こちらは日経新聞の記事を過去にさかのぼり検索できる便利なツールです。楽天証券に口座があればだれでも無料で使えます。
2019年3月25日から半年以内の日経新聞記事で早期退職や希望退職を実施や募集が報道された会社のデータです。過去半年ですが、それなりの数がありますね。
漏れ抜けはあると思いますが、報道されたデータは結構拾えているはずです。
ちなみに業績予想については「会社四季報」のデータで2020年度の業績予想(純利益予想)を併記しています。
50歳以上をを早期退職・希望退職の対象とした会社
鳥居薬品
コーポレート・営業部門は4月1日時点で勤続2年以上、製造・物流を除いた技術部門は勤続2年以上のうえ20年3月末時点で50歳以上の社員を対象とする。
45歳以上を早期退職・希望退職の対象とした会社
NEC
45歳以上で勤続5年以上の従業員を対象に実施した希望退職に2170人が応募。希望退職のほか、取引先や協力会社への転籍でも約400人を削減する。
2020年3月業績予想:60,000百万円
カシオ
当社の国内営業部門またはスタッフ部門に在籍する勤続10年以上の社員の内、45歳以上の一般社員及び50歳以上の管理職社員
2020年3月業績予想:22,300百万円
コカ・コーラ
グループ従業員約1万7千人のうち、45歳以上の正社員を対象に希望退職を募る。
2020年12月業績予想:18,000百万円
協和発酵キリン
初めて希望退職者を募集することも公表、生産本部の在籍者を除く45歳以上の社員を対象とする。3月11日から28日まで募集し、6月末の退職を予定している。
2020年12月業績予想:37,000百万円
エーザイ
45歳以上で勤続5年以上の社員が対象。2018年12月11日から19日まで募集。早期退職の募集に300人が応じたと発表した。100人程度を見込んでいたところ3倍の応募があった。
2020年3月業績予想:68,000百万円
アルペン
45歳以上64歳未満の正社員と契約社員を対象にする。募集人数は両社の正社員と契約社員の合計の約1割に上る。
2020年6月業績予想:1,400百万円
※ただし2019年6月は-1680百万円の赤字予想
千趣会
45歳以上の正社員らを対象とする希望退職に212人が応募したと発表した。募集人員280人の8割弱にあたる。
2020年12月業績予想:470百万円
※ただし2018年は6028百万の赤字
40歳以上を早期退職・希望退職の対象とした会社
大正製薬HD
はこの夏、初めて早期退職募集に踏み切った。対象は勤続10年以上で40歳以上の約3000人だったが、全従業員の15%にあたる948人が応募した
2020年3月業績予想:36,000百万円
医学生物学研究所
希望退職は満40歳以上の総合職と嘱託職員らを対象にしていた。30人程度を募集し、同社によると11月1日から15日までに32人が応募した。退職日は12月31日
2020年3月業績予想:200百万円
こうみると、45歳を区切りとして早期退職の対象とする会社が多いですね。
利益規模の小さな会社や、業績不振のアルペンや千趣会などもありますが、NECやカシオ、コカ・コーラボトラーズジャパンHD、などは増益予想です。
つまり、業績的に現時点で厳しかったり、先行きの見通しが悪いわけでもないけど、45歳以上の社員をリストラしようという動きが進んでいるわけですね。
あるいは、こうした企業の多くが、今後不景気になることを先読みして、体力があるうちにリストラを進めていこうと考えているのか?