日興リサーチセンターがAI(人口知能)を投資判断に活用して株式に投資をするというタイプのアクティブファンドの内、運用歴が1年以上の10本を調べたところ、すべての投資信託の運用結果がマイナスだったそうです。
一例としては以下の通りです。
- GSビッグデータ・ストラテジー米国小型株:-9.4%
- GSビッグデータ・ストラテジー外国株:-2.8%
- GSビッグデータ・ストラテジー日本株:-11.4%
- ブラックロック・米国小型株式ビッグデータ戦略ファンド:-6.2%
- AI(人口知能)活用型世界株ファンド:-2.8%
- Oneフレキシブル戦略日本株ファンド:-6.2%
見事にマイナスですね。なぜAIファンドは負けたのでしょうか?
もう少し、各ファンドを取り上げてみます
だいたい、こういう流行りもののファンドって失敗するイメージしかないです。
GSビッグデータ・ストラテジー
ビッグデータやAI(人工知能)を活用したゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント独自開発の計量モデルを用い、多様な銘柄評価基準に基づいて幅広い銘柄に分散投資します。
AI(人工知能)活用型世界株ファンド
アセットマネジメントOneが独自に開発したディープラーニングモデルを用いて、相対的に投資魅力度が高いと判断される銘柄を抽出します。モデルの解析結果に、ファンドマネジャーの判断によりニュースフロー等のテキスト解析や個別企業のファンダメンタルズ分析を融合させ、ポートフォリオを構築します。
ブラックロック・米国小型株式 ビッグデータ戦略ファンド
「米国小型株式 ビッグデータ戦略マザーファンド」を通じ、主として、米国の小型株式に投資を行う。ブラックロック・グループが独自に開発した計量モデルを活用しながら、企業の収益成長や割安度等に着目し、相対的に投資魅力度が高いと判断される銘柄へ投資する。
Oneフレキシブル戦略日本株ファンド
ビッグデータの活用とボトムアップアプローチによる分析等を組み合わせ、投資テーマと組入銘柄の候補を選定します。投資環境の変化に応じて、大型株や中小型株の配分比率等、最適と判断される投資スタイルにて最終的な投資テーマおよび組入銘柄を決定します。
各ファンドとも、ビッグデータやディープラーニングを通じて相対的に魅力の高い株に対して投資をするというアクティブファンドですね。
- GSビッグデータ・ストラテジー米国小型株:-9.4%
- GSビッグデータ・ストラテジー外国株:-2.8%
- GSビッグデータ・ストラテジー日本株:-11.4%
- ブラックロック・米国小型株式ビッグデータ戦略ファンド:-6.2%
- AI(人口知能)活用型世界株ファンド:-2.8%
- Oneフレキシブル戦略日本株ファンド:-6.2%
上記のように、結果がマイナスであってもマーケット(市場平均)に勝っているのであれば、ファンドとしては優秀だったといえます。
ただ、当該期間中の米国株(S&P500)は7.4%のプラス、MSCIコクサイ(世界株)は5%のプラス、TOPIX(日本株)は8.2%のマイナスとなっており、いずれのAIファンドも、市場平均に勝てていません。結果を相場のせいにすることはできませんね。
こうしたファンドは信託報酬(投信の管理費)高いため、市場平均よりも弱い理由にはなります。
ただ、信託報酬が仮に1.5%だったとしても、それ以上に負けているAIファンドはどうなっているのか?って話ですね。
流行り物のファンドの宿命
なぜか?という理由に対して日経新聞では以下のように解説されております。
AI投信、成績ふるわず 「アナログ相場」に翻弄され?
日本経済新聞 2019年8月3日AI投信は膨大な量のデータを読み込み、多面的に分析して魅力的な銘柄を抽出する手法を用いることが多い。企業の業績や財務、株価情報、人間ならば読み切れないような量のアナリストリポートや、衛星写真から読み取れる物流動向なども分析の対象にする。
ところがAIにも弱点があったようだ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は「過去のデータを基に投資判断するAIが、過去にない性質の相場環境の大きな変化にうまく対応できなかったのではないか」とみる。
米中貿易摩擦の激化で為替や株の相場が不安定化している。データ分析に優れたAIでも、トランプ米大統領の一言で揺れる「アナログ相場」を読むのは難しいようだ。今後もAIが力を発揮しにくい相場展開がしばらく続きそうだ。
ということです。もっともらしい理由が付けられていますが、アナログ相場うんぬんはあまり関係ない気がします……。
実際、過去にはない性質の相場って言いだしたら、いつでもそうだと思うんですよね。むしろ、アナログという機微な情報こそ、ビッグデータとかAIとかの強みなんじゃないの?って思うんですけど。
投資信託に関してはインデックス運用とアクティブ運用という論争があり、結局はインデックスファンドで十分じゃないの?って話になるわけですが、今回のAIファンドについても同じような結果になってしまいましたね。
ちなみに、dポイント投資でも利用されている、THEO運用のTHEOグロースAIファンド、THEOインカムAIファンドはどちらも「AI」という単語がついていますが、投資判断をAIに任せているわけではないです。