2018年のふるさと納税に関する統計(実績)が総務省より発表されました。
ふるさと納税、"赤字"団体続出 返礼品競争の拡大で制度にゆがみ
日本経済新聞 2019/10/3受け入れた寄付額とかかった経費、翌年度の住民税控除額を自治体ごとに集計したところ、604団体(34%)が実質的に赤字だった。地方交付税の交付団体であれば控除額の75%は補填されるが、それを加味しても全体の21%にあたる373団体は持ち出しの方が大きい。
結局、ふるさと納税で儲かったのは仲介をした寄付サイト運営業者(広告事業者)と高額所得者(高額納税者)だったというお話になる感じです。
ふるさと納税は金持ちほど優遇された
上記を見ていただくとわかりますが、ふるさと納税の寄付可能額(税控除される限度額)というのは年収が増えるほど上がります。この上がり幅は等倍ではありません。
グラフにすると以下のようになります。急激に上昇する年収帯があるのは所得税率が上がる(累進税率)からですね。
たとえば、年収が2500万円の人は独身(あるいは共働き)だと約85万円のふるさと納税をして、ほぼ全額が還付されます。
2018年は「ふるさと納税で自治体がなりふり構わぬ年末ラッシュを実施!Amazonギフト券、iPad、旅行券などやりたい放題」の記事などでも紹介しているように商品券・金券類が山ほどありましたので、寄付額の半分程度が旅行券やAmazonギフト券などで戻ったわけです。
85万円だと42.5万円分です。すごい。
ふるさと納税の寄付サイトも儲かった
そして、ふるさと納税寄付サイトの儲けも負けてません。
「ふるさと納税寄付サイト「ふるなび」運営のアイモバイル(6535)が大幅増益、そのビジネスモデルとは?」で紹介しましたが、ふるさと納税の寄付サイトをやっている会社が1Q(第一四半期)で営業利益2317%増(23倍)というバカみたいな数字を出してきました。
ちなみに、2019年6月以降は制度変更もあり、ふるさと納税の利用が減少しているということもあり、同社は大幅な減益予想となっています。「ふるさと納税のアイモバイル(ふるなび)、来期は大幅減収・減益見込み。ふるさと納税改悪が尾を引く 」
ひずみのある制度をどう運用する?
自治体の中には、ふるさと納税はやめたいと考えているところも多いと思います。でも、やらざるを得ない。
- 納税者はお得だから寄付(ふるさと納税)をする
- 自治体はその分減収になる
- 減収分を補うには、他の地域の納税者から寄付を募るしかない
- 自治体間の競争が激しくて経費倒れになる
こんな感じになっているんじゃないかと思います。自治体は結構なジレンマに陥ってそうです。
一度リセットするなら制度をのこしたまま返礼品制度自体を不可にして寄付総額を大幅に減らしつつ、自治体の事務負担を抑えるくらいしか方法がなさそうですが、このちぐはぐな制度のまま残り続けるんでしょうかね。